アジアの女

アジアの女新国立劇場
長塚モノは「桜飛沫」「ウィー・トーマス」に続いて3度目。長塚=グロみたいな思い込みがあるんですが、今回は違いました。静かに、淡々と、でもその裏でしっかり登場人物たちに変化が起こっているような。登場人物それぞれに心に闇を持って苦しんでる中、菅原永二さん演じる村田くんは清涼剤でした。よ…読みたい…村田くんの愛読書*1…!猫のホテルは未体験なので、今度の表現・さわやか「そこそこ黒の男」が俄然楽しみになりました。近藤芳正さんはさすが。ちょっと役不足かなぁとも思ったけど、アル中でいて、それでも自分たちの廃墟を、妹を他人から守って、でもそこから抜け出せないから外にいる妹を自分で助けにいくこともできないジレンマ。やはり巧かった。さすがだ。岩松了さんの一ノ瀬もね。もう、頭っからバカなんだけどw、それを力ずくで見せつける感じ。私の読解力が足りなくて、あのハエを追い払うシーンがどんな意味を持つのかわからなかったけど、晃郎と麻希子が一ノ瀬と一緒に追い払うところになってちょっと理解できた気がする。峯村リエさんはもうそこにいるだけでリエさんw デカイだけでも存在感抜群だし、あの「いい人ぶって実は…」がほんとウマイ。晃郎に麻希子のやってる「対価をもらうボランティア」のことをバラそうとする時の豹変っぷりったら。鳥肌立った。あとね、岩松さんに箒でぶったたかれてる時、「痛い!痛い!ちょ…ホントに痛い!!」ってアレは素だった。客はゲラゲラ笑ってましたよ。もちろん私もw
最後、地震後に芽吹いた葉たち。カテコもなく、演者がいない中での終演でちょっととまどったけれども、アレはアレでありなんではないかとジワジワ。しかもあの葉は晃郎がギリギリ行ける、外との境界線までしかないのよね。あそこだけ、晃郎と麻希子だけに、光が差し込んでるように。

*1:各性感帯がそれぞれ人格を持っているというエロ小説。